医療被ばく線量の考え方と「医療被ばく測定テキスト」のご紹介
計測部会は以前より、被ばく線量は物理量として明確に定義され、また実測できる照射線量を基準とした量で評価するべきであると
述べてきました。これは、医療被ばく(患者被ばく)の線量表示に実効線量を使わないことを意味します。各組織の吸収線量が不明
なまま、組織荷重係数だけを乗じることは、線量数値を下げるだけであり、医療被ばくの希釈効果しか、もたらさないように考えます。
診断領域のX線測定は、放射線治療領域とは異なり、様々な理論や基礎データに不備・不足があります。診断分野は画像の提供が
本来の目的で、患者被ばくはその副作用としてしか考えられてこなかったためだといえます。しかし時代は、損益のバランスを
考えるのに必要な情報提供を望んでいます。X線撮影系における被ばく線量の測定は、時代的で社会的な背景から必要とされている
ことは共通しています。しかし一般撮影と乳房撮影とでは、被ばく線量の測定はその手順だけでなく評価方法も異なり、同じ尺度で
比較できません。そこで、計測部会では、一般撮影、乳房撮影、 X線CT撮影と、主だった撮影系における被ばく線量測定法の標準化
に向けて、各支部等と共に全国各地で「医療被ばく測定セミナー」を実施してきました。平成26年度をもって計測部会としての本事業は
終了いたしましたが、今後は各支部が中心になって、本事業が継続されるものと考えております。講義には、以下のテキストが使用
されました。1冊2000円です。診断領域の医療被ばく測定について、まとめたものです。今後も、ご利用頂けますと幸です。
(平成24年9月、改訂2版が発刊されました)
購入は、日本放射線技術学会事務局まで。学会会場でも販売して おります。